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自分自身に失望した。そして後悔――。滲み出た涙を拭い、そして心の中で静かにつぶやく――
俺はさ、一体何をしているんだろうね……ただ純粋に明里と一緒にいたかっただけなのに……俺にはもう何にもないんだ、空っぽだ。
『自業自得だろ』、心の中の自分が言った。
その通りだ。これが現実、これがそうやって生きてきた俺の人生の末路なのだ。
何でもいい。どんな小さなものでもいい。ただただ救いが欲しかった。
六月。ここ連日降り続く雨で、部屋は湿気に満ちていた。薄暗い空と優しくしとしとと降りしきる雨の音が、今の自分には丁度よかった。まだ完全に心が立ち直ったわけではないが、少しずつ気持ちも落ち着き始めたおかげで、身の回りの整理ができるようになった。
散らかったゴミを片付け、一息つくためのコーヒーを飲みながら春物の上着を整理していた時にある物を見つけた。
一通の古びた封筒。そうそれは、明里と別れた最後の日に彼女が渡してくれた手紙だった。
手紙を手に取ると、明里が渡してくれたあの瞬間のことが甦った。
改めてこの手紙を読まなければならないと思う。何が書いてあるかは開けてみなければ分からない。でもこれがきっと明里の言葉と共に、この先の人生において大切な力を与えてくれる、そんな気がするのだ。
全てを片付け終え、椅子に深く腰掛け、宝物のように大事に封を開ける。
懐かしい、よく見慣れた明里の文字。あの頃と同じリズムで綴られた文章。目の前に浮かび上がる少女の明里。一言一句心に刻み付け、読み進める。彼女の声を聞くように。
――そして全てを読み終えた。
明里が渡したかったラブレター。今しっかりと心で受け取った。
その日の夜、夢を見た。
そこは明里と別れた日の岩舟駅だった。状況も全て同じ。電車に乗り込み、泣き続ける自分と優しく微笑む明里。二人は向き合い最期の会話をする。
「貴樹くんは、きっと大丈夫だから」
「ありがとう……」
あの時は、これが最後の言葉だった。でも今は違った。
俺は涙を止め、何かを決心したように笑顔になった。そして最後に明里に伝えることができたのだ。たった一言の最後の気持ちを。
「――さようなら」
目が覚めた朝には雨は上がり、陽が差していた。
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